2011年5月19日木曜日

使徒の働き 1章

 

1章

ルカは冒頭の節でこの書が「イエスが行い始め、教え始められたすべてのことについて」書かれているとのべている。宛名のテオピロは、テオ(神)+ピロ(愛する)=神を愛する者の意。クリスチャン全体を表わすコードネームとも個人名とも言われる。ルカの元主人で、ルカがパウロと行動をともにするのを許可した後、ルカが自分の元の主人宛に書き送ったとの説が有力。以降、ペンテコステ直前までの弟子たちの様子とイエスの昇天の様子とが述べられているが、これらはイエスの昇天から聖霊降臨までのわずかの間に起きた出来事である。弟子たちとともに集っていた人々の中に女性が含まれていることから、この群れが伝統的なユダヤ教会の群れとはすでに異なっていたことがうかがわれる。この群れに聖霊の導きが必要であることが、ユダが空けた使徒の欠員を補充する際に明らかになる。くじを用いるという方法については議論の余地があるが、このことも含めて人の行動や決断については以下のように理解すべきである。まず、組織の人事に時間がかかるのは、人は組織のための資源として神が創造されたわけではないという単純な事実に基づく。また、人は人を任命するが、神にのみ最終的決定権が委ねられている。人の考えや思いをはるかに超えた権威を持っておられる神はすべてを知り尽くした上ですべてを決めるからである。人は物事を決め、神はそれを容認もするが、人が自分の思いに基づく歩みを捨てて神を認め神のみこころを求めない限り、神の導きがその人の歩みを導くことはない。8節の「証人」とはギリシャ語のマルテュスの訳で「殉教者」の意(使22:20、黙2:13、17:6)。この書の実質的内容は初代教会に働く「聖霊の働き」の記録であり、聖霊はすべての時代を通して今にいたるまで働いておられる。したがって、この書は実際にはまだ完結していないとも言える。

0 件のコメント:

コメントを投稿