6章
この章では、教会の中で起きている出来事と、教会外の人々との境界線上で起きた出来事とがそれぞれ描かれている。教会内での出来事とは、配給に伴って起きた、ギリシャ語を使うユダヤ人とへブル語を使うユダヤ人とが対立しかけたという問題である。使徒たちには神のみことばを宣べつたえるという使命があるので、食卓のことに煩わされていてはならず、与えられた使命に専念するため、食卓のことに携わるための執事(ディアコノス=仕える者)を選んだ。選ばれた者たちはすべてギリシャ語を話すユダヤ人である。配給についての苦情はギリシャ語を話すユダヤ人から出てきたので、執事をギリシャ語を話す人たちから選んだことによって、問題の解決が容易になるという判断もあったと思うが、もちろん、そればかりではなく、この人たちは「御霊と知恵に満ちた評判の良い人たち」であり、やはり、この教会に仕えるために神に選ばれた人たちだったのである。この人事は、「こうして神のことばは、ますます広まって行き、エルサレムで弟子たちの数が非常にふえて行った」(7節)という良い結果を生み出した。また、「多くの祭司たちが次々に信仰に入った」(7節)ことも目を引く。選ばれた執事の中でステパノは「恵みと力とに満ちた」(8節)、特に際立った人であった。ステパノの証しは、反対者の側からの激しい攻撃の的となった。攻撃されたのは主にステパノが「人々の間ですばらしいわざと不思議を行ってい」(8節)て人々の多くの好意を集めていたことから来るねたみからであって祭司職にからんでのものではなない。ステパノのケースは、この類の反対の最初のものである。リベルテンの会堂に属する者たちとは、奴隷から解放されたユダヤ人たちの集まりであるが、彼らは、民衆と長老たちと律法学者たちとを扇動してステパノたちを捕らえて議会に引っ張っていった(12節)。
0 件のコメント:
コメントを投稿